人事コンサルタントのお仕事日誌

人事労務管理のコラムとFPエッセイ

インフレ到来で暮らしと経営はどう変わる?

 

外国為替市場では急速な円安が進んでいます。原因は日米の金利差が拡大しているためです。

アメリカでは中央銀行FRBが物価の見通しを誤り、金融引き締めが遅れたことで、およそ40年ぶりというインフレに見舞われています。

あせったFRBはインフレを抑え込もうと急ピッチで金利を引き上げています。それに対し日本銀行はこれまでのゼロ金利政策を継続させる予定です。

かつて円安は輸出企業に有利なこともあり歓迎されました。しかし今は主だった生産拠点は海外へ移ってしまい、円安の恩恵は以前ほどありません。

逆に原油や食料品の価格が上昇するというデメリットの方が大きくなっています。この秋にも多くの食料品で値上げが予定されており、さらに物価は上がりそうです。

日本では90年代の不動産バブルの崩壊以後、ずっとデフレが続き、物価は上がらないのが当たり前でした。しかし、これからはデフレに代わってインフレが長く続きそうです。

ロシアとウクライナの戦争が終わっても、日米欧諸国はロシアや中国との貿易を以前ほど拡大させず、ロシア産のエネルギーや中国製品がどんなに安くても過度に購入することを控え、人・モノ・カネの自由な往来も制限されます。

世界経済はグローバル化から、かつての東西冷戦時代のようなブロック化に向かいそうです。その結果、市場の需給調整機能は低下し、インフレが起きやすくなります。

 

 

インフレが定着すると、デフレ時代とは異なる行動が求められます。デフレでは購入の意思決定は遅らせるほどメリットがありました。モノやサービスの価格は今日より明日が安くなるため、購入は先延ばしする方が合理的でした。

しかし、インフレになると購入を遅らせると価格が上がってしまうため、意思決定の先送りはマイナスです。

またデフレでは物価が下がり続けるため現金を持つことが有利でした。しかしインフレになると物価が上がり、現金の価値が下がるため、預貯金よりも借り入れやローンを抱えている方が有利です。会社なら現金を原材料や在庫というモノに変えておく方が合理的な判断になります。

日本では長い間、デフレが続いたため、現役世代の多くはインフレの経験がありません。これからは折に触れ、デフレ時代の常識を疑ってみる必要がありそうです。