人事コンサルタントのお仕事日誌

人事労務管理のコラムとFPエッセイ

指示待ち社員の解消法

 

バレーボールの元全日本代表の 益子直美 さんが、「監督が怒ってはいけない」という少年少女のスポーツ大会の普及に取り組んでいます。この大会の目的は勝つためではなく、子供たちが楽しく、のびのびとプレーすることにあります。


益子直美さん


そのため試合中、監督は怒ってはいけないルールになっています。試合中に益子さんが会場を見て回り、怒っている監督がいたら赤いバツ印のついたマスクを渡して、それを着けるように指導します。

この大会に参加した監督たちが驚くのが子供たちの変化です。子供たちは怒られないからミスを恐れずに思い切ったプレーをするし、自分たちで考えて行動します。益子さんは怒る指導は心の成長を阻害し、考える機会を奪うと語っています。

ここで会社の現場に目を転じると、最近は経営者や管理職から部下について、「指示しないと動かない」「言われたことしかしない」など、主体性の欠如を嘆く声を耳にします。

昭和時代のような怒る上司は影を潜めましたが、指示をし過ぎる上司は増えています。上司がいつも指示を出すから部下は指示を待つし、指示がない仕事はやらなくなります。

上司が何も指示をしないという訳にはいきませんが、目標や納期は設定しても、そこに向かってどうやって仕事を進めるかは部下に任せてみてはどうでしょう。部下の質問には答えるものの、どうやるかまでは教えないようにします。

まずは特定の月やプロジェクトに限ってやり方を指示しないようにして様子を見ます。その上で、プラスの効果が見られた部下には引き続き、指示をしないやり方を続けます。指示が欲しそうな部下には、これまで通り指示をします。

「監督が怒ってはいけない」大会の狙いの一つに、子供たちだけでなく、監督も怒らない指導にチャレンジすることが掲げられています。指示待ち社員が目立つなら、経営者や管理職も「指示を出さないマネジメント」に挑戦してみてはいかがでしょう。