年末には何かと今年1年を振り返りますが、人は年齢を重ねるに連れ、時の流れが早くなるようです。
その理由として年齢が上がるほど、1年の割合が下がるためという説があります。10歳の子供にとっての1年は10%ですが、50歳の人にとっては2%に過ぎません。
年をとるほど1年のウェイトが軽くなるため、時間の流れも早く感じるというわけです。
また経験の蓄積によって時間を短く感じるという説もあります。長く生きていると身の回りに起きるのは過去に経験したことが多くなり、記憶に残る出来事が減ります。
新入社員にとっては見る事、聞く事のすべてが新鮮ですが、ベテランになると大半の出来事は過去に経験したことばかりになります。そして新しい出来事は例外として忘れ去られてしまいます。
経営の神様と称される松下幸之助氏は、まだ会社が小さかった頃、何かにつけて部下に電話をかけて、「何か変わったことはないか」と尋ねていました。

35歳の頃の松下幸之助氏
時には1日に何度も電話してくるため、部下が「今は特にありません」と答えると、「こんな変化の激しい時代に何も変わったことがないなんて、オカシイやろ」と叱責していたそうです。
幸之助氏が何度も「変わったことがないか」と電話して来るため、部下は自ずと変わったことを探すようになります。すると普段なら見落としてしまう出来事にも気づきます。
部下にとっては些細な出来事でも、経営者や管理職にとっては見逃せない話というのはよくあります。その結果、「何でそんな大事な事を早く報告しないんだ」といった事が起きなくなります。
年齢を重ね経験を積み、現場から遠ざかりがちな経営管理階層の人にとっては、「何か変わったことはないか」は、変化に機敏に対応するための魔法のフレーズなのかもしれません。