人事コンサルタントのお仕事日誌

人事労務管理のコラムとFPエッセイ

iDeCoとNISAの使い分け

来年、2024年から新しい NISA少額投資非課税制度)が改正されることになり、大きな注目を集めている。NISAと同じような制度として iDeCo(個人型確定拠出年金)もある。

2つとも老若男女、職業を問わず利用できる制度であり、自分で資金運用する点でも似通っている。しかし制度の趣旨は大きく違うため、それぞれの違いを踏まえて利用することが望ましい。そこでiDeCoとNISAの違いを取り上げる。

 

iDeCoとNISAの法律上の位置づけ

iDeCo確定拠出年金法 という法律に基づく制度であり、第1条の目的条文には「公的年金の給付と相まって、生活の安定と福祉の向上に寄与する」と書かれている。この「公的年金の給付と相まって」という箇所がポイントで、iDeCo公的年金に個人が上乗せを図る私的な年金という位置づけになる。

これに対しNISAは 租税特別措置法 に基づく税制上の特例であり、その目的は ①企業の成長資金の供給拡大を促しつつ、②家計の安定的な資産形成を推し進めることを狙いにしている。

つまりiDeCoは個人による年金のためという限定的な仕組みであるのに対し、NISAは年金も含めた幅広い意味での個人の資産形成のための制度になる。

続きを読む

中国経済減速のウラ事情

 

各種の報道によれば、中国の経済が減速を続けているようです。大きな原因はGDPの3割を占めるとされる不動産セクターの不振です。

ここ数年、中国ではリーマンショックやコロナ対策などで膨大な資金を供給したため、不動産価格の上昇が続いていました。過熱した不動産投資を抑えるため、中国政府は2020年、銀行に対して不動産業界への融資の規制するように命じました。

この影響により、不動産デベロッパーは相次いで資金繰りが悪化、受注していた物件の工事も止まり、不動産価格も下落を続けています。デベロッパー大手、恒大集団や碧桂園は相次いで社債の利払いや償還ができないデフォルト(債務不履行)に陥っています。中国の不動産業者の約20%は債務超過の状態にあると言われています。

 

 

続きを読む

捨て去ることで道が開ける


中古自動車の買取販売のビックモーターが揺れています。保険金の不正請求に加え、環境整備 と称する活動で店舗前の樹木に除草剤を使って枯らしたことも問題になっています。

 

この「環境整備」を指導していたのが株式会社武蔵野の代表、小山昇氏と言われていますが、環境整備の生みの親は著名な経営コンサルタント一倉定(いちくら・さだむ)氏です。

 

 

一倉定

続きを読む

成果を上げるために必要なこと

 

中古車の買取販売のビックモーターが揺れています。保険金の不正請求に加え、「環境整備」と称する活動で、店舗前の樹木を枯らせたことも社会問題になっています。

 

この環境整備を指導したのは武蔵野という会社の代表、小山昇氏と言われていますが、環境整備の生みの親は著名な経営コンサルタント一倉定(いちくら・さだむ)氏です。

 

 

一倉定

 

続きを読む

これからの働き方を先取りしたG7サミットの舞台裏


5月に広島で開催されたG7サミットは、ウクライナのゼレンスキー大統領が飛び入り参加したこともあり、世界中から注目を集めました。

 

このサミットを報道する国際メディアセンターでは、世界各国の報道関係者や記者向けに食事が提供されました。そこで調理にあたる人たちの働きぶりは、これからの働き方を先取りしていました。

 

会場には全国のレストランや飲食店などから料理人・数十名が派遣され、ビュッフェスタイルの食事を朝・昼・夜に作ります。

 

国際メディアセンターのダイニングの様子

続きを読む

インフレ時代に向けた準備をしよう

日経平均株価が90年代のバブル経済崩壊後の最高値をつけ、注目を集めています。

 

この背景には、①予想以上に日銀による低金利政策が続きそうなこと、②東証による上場各社に対するPBR(株価純資産倍率)改善要請、③円安を背景にしたインバウンド需要の高まりや国内製造への投資の回復、④著名な投資家、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)による日本株買いなどが挙げられます。

 


ウォーレン・バフェット

 

そして、もう一つ見落とせないのが日本の30年に渡るデフレが終わるだけでなく、世界的にインフレが長引くのではないかという予測です。

続きを読む

新札の透かしを通して見えて来る不安心理

 

キャッシュレス決済が広がり、現金を使う機会は減りつつある中、日銀は来年(2024年)、新札を発行します。1万円札の肖像は渋沢栄一に変わり、5000円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎になります。

 

 

日銀が約20年ぶりに新札を発行する理由としては、偽造防止や紙幣の製造技術の伝承などがあると言われています。また隠れた狙いとして、表に出せない裏金やタンス預金をあぶり出す効果も期待されています。

 

多くの裏金やタンス預金の背後には法人税相続税の脱税が関係しています。紙幣を新しくすれば、大量の旧札は人目を引き、所有者の特定に繋がりやすくなります。

 

続きを読む