人事コンサルタントのお仕事日誌

人事労務管理のコラムとFPエッセイ

年金制度の将来を予測する財政検証

 

来年、2024年は公的年金の健康診断とも言える 財政検証 の結果が公表されます。

現在、厚生労働省の審議会では、年金保険料を支払う期間の延長や、短時間労働者を中心に厚生年金への加入を進めるといった案が議論されています。

より長い期間、年金保険料を払ったり、新たに厚生年金の被保険者となることで、将来、受け取れる年金は増えます。

それと同時に、年金受給者が現役世代と比べ、どれくらいの割合の年金を受け取るかを示す 所得代替率 を向上させる効果も期待できます。

現在の所得代替率は約60%ですが、前回5年前の財政検証では、現在行っている少子化と高齢化を踏まえた マクロ経済スライド という支給調整を続けながら、経済成長率と労働参加率が想定通りに推移すれば、約20年後も所得代替率の50%台は維持できるとされています。

もし想定されているよりも経済成長率や労働参加率、出生率が上がらず、所得代替率が50%を割り込むことが明らかになれば、マクロ経済スライドによる支給調整を停止し、年金財政の収入と支出について必要な見直しを行うことが法律の附則で定められています。

こうなると年金保険料の上限が固定されている以上、年金財政の収入を増やすためには今以上に税金の投入を増やす、つまり消費税を増税するか、あるいは所得代替率の50%割れを容認するかの二者択一を迫られます。

これはかなりの政治問題になるため、政府としてはなんとしても所得代替率の50%割れは避けたい所でしょう。

こうした事情を踏まえると政府が急遽、「年収の壁対策」を打ち出したり、賃上げや少子化対策に躍起になって取り組む背景も見えてきます。

厚生年金の被保険者が増え、現役世代の賃金が上昇し、少子化に歯止めがかかれば、所得代替率の向上にプラスの効果をもたらすからです。

来年の夏にも明らかになる新しい財政検証の結果が注目されます。