人事コンサルタントのお仕事日誌

人事労務管理のコラムとFPエッセイ

若手社員の早期退職と意識の変化

今年も新入社員が職場に配属される季節になりました。苦労して採用した人材ですが、厚生労働省の調査では3年を経過するまでに、およそ3割の新入社員が退職することがわかっています。

 

全体としてこの「3年で3割」という数字は大きく変わっていませんが、大企業では2009年頃から上昇基調が続いています。さらに最近の特徴として、見込みのある若手ほど退職し、あえて労働条件の良くない中小企業やベンチャー企業に転職する動きが目立ちます。

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仕事を変える人工知能の登場

アメリカのオープンAIという会社が開発した人工知能「Chat(チャット)GPT」が話題になっています。自然言語処理タスクを実行する大規模な言語モデルとされ、質問をするとウェブサイトから情報を集め、まるで人間と会話しているかのような自然な表現で答えを返して来ます。

 

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守りの姿勢が衰退を招く

昨年末の税制改正大綱でNISA・ニーサ(少額投資非課税制度)の拡充が決まりました。これによりiDeCo・イデコ(個人型確定拠出年金)の加入者・拠出額の拡大と合わせて、個人による株式市場での運用益や配当金に対する非課税枠が拡大されます。

 

政府がこうした減税を決めた背景には国民の資産形成を後押しすると伴に、2000兆円ともいわれる家計の資産を証券市場に誘導し、日本経済の活性化に繋げたい狙いもあります。

 

現在、NISAの口座を開設しているのは約1100万人で、総人口の約9%、iDeCoの加入者数の割合は社会保険の被保険者の約3.5%とまだまだ利用は低調です。家庭の総資産も85%は銀行預金や保険となっていて、株式や債券などは15%に過ぎません。

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財布や預金通帳がなくなる日

 

仮想通貨の業界が激震に見舞われています。取引所で世界第2位のFTXという会社が経営破綻し、連鎖倒産が相次いでいるのです。取引所というのは証券会社のような存在で、投資家は取引所に資金を預けて仮想通貨を売買します。

 

FTXは取引所でありながら自社発行のポイントのような「FTTトークン」を発行し、これを担保に関連会社のアラメダ・リサーチが資金を調達し、様々な投資や買収を積極的に行っていました。

 

しかしアメリカの中央銀行による金利の引上げにより、トークンの価値も下がり、FTXの信用不安が広がります。その結果、多くの投資家が取引所から大量の資金が引き出すという取り付け騒ぎが起き、経営破綻に至ったのです。

 

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なぜ日本はデジタル化が遅れているのか?

 

政府は賃金のデジタル払いを解禁したり、マイナンバーカードを健康保険証の代わりにするなど、デジタル化に向けた動きを推進しています。日本ではデジタル化が遅れていると言われており、キャッシュレス決済の普及率も30%程度とされ、ドイツと並んで利用が低調です。

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職務給が広がると何がどう変わる?

岸田総理は先の国会の所信表明演説において、賃上げ対策の一つとして能力給から日本に合った職務給への移行を目指す方針であることを表明しました。総理大臣が「職能給」や「職務給」といった人事労務管理の専門用語にまで踏み込んで発言したのは驚きです。

 

日本の企業は長い間、職能給 を採用してきました。職能給とは社員の持つ職能、つまり職務遂行能力を評価して給料を決める仕組みです。ところがこの職能を客観的に評価するのが難しく、ついつい年齢を重ねるごとに職能が高まるとして扱ってきた結果、年功序列型の賃金体系が定着しました。

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インフレ到来で暮らしと経営はどう変わる?

 

外国為替市場では急速な円安が進んでいます。原因は日米の金利差が拡大しているためです。

アメリカでは中央銀行FRBが物価の見通しを誤り、金融引き締めが遅れたことで、およそ40年ぶりというインフレに見舞われています。

あせったFRBはインフレを抑え込もうと急ピッチで金利を引き上げています。それに対し日本銀行はこれまでのゼロ金利政策を継続させる予定です。

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