人事コンサルタントのお仕事日誌

人事労務管理のワンポイント・コラムとショートエッセイ

東京の賃貸派へ吹く追い風

2021年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京23区の人口が2014年に外国人も含めた調査になって以来、初めて減少に転じました。これまで毎年5万人から7万人の転入超過=人口増が続いていましたが、昨年は一転して15000人弱の転出超過=人口減になりました。

 

東京の中心部から人が減っている原因はテレワークです。通勤する日数が減り自宅勤務が増えたことで、多くの人が高くて狭い住環境の東京から、安くて広い住まいが手に入る近隣の他県へ引っ越したためです。

 

また企業が本社機能を移転させていることも影響しています。帝国データバンクの調べによると、2021年に首都圏から他府県へ本社機能を移転した会社は351社で、23社の転出超過となりました。首都圏の本社数が減るのは11年ぶりで、転出した数としては過去最高です。

 

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こうした傾向はコロナ禍が終わっても続きそうです。現在、テレワークを導入・推進している会社は仕事自体がテレワークに適していて、社員にもあまり抵抗がありません。そして仕事の生産性=労働生産性が高まる上、オフィスのスペースも減らせ、固定費の削減につながります。

 

採用でもテレワークができる会社は応募者にとって魅力的で、多くの採用候補者を集められる点で有利です。こうしたことから、一旦、テレワークを始めた会社が再び、全社員に出社を命じることはなさそうです。本社を移転した会社もしばらく東京に戻ってくることはないでしょう。

 

都内では人口が減少しているにも関わらず、賃貸住宅の新規着工数は増え続けています。東京オリンピックが終わったことで民泊から一般賃貸住宅への転換も増えたことも重なり、特に単身者向けの賃貸住宅戸数は供給過剰になり、ワンルーム・1Kタイプの家賃は値下がりし始めています。

 

これまで東京23区であれば空室が出ればすぐに次の入居者が決まりました。しかし、これからは駅から遠い、長らくリフォームしていない、家賃が高いなどの物件では、なかなか空室が埋まらないといった事態になりそうです。3月の引っ越しシーズンが終われば、単身者向けで条件がよくない賃貸住宅の家賃はさらに下落しそうです。

 

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空室が続く貸し主はリフォームを行うか、これまで避けていた外国人や高齢者を受け入れるか、それとも売却によって利益を確定するかといった対策を迫られます。一方、借り手はより有利な条件での契約更新や転居を検討するのが得策になるでしょう。

 

東京の単身者向け賃貸不動産市場は地方都市と同じように立地や物件による二極化が進みそうな気配が濃厚です。