新入社員が配属された現場ではOJTが真っ盛りといった所ではないでしょうか
現場の責任者にすれば一刻も早く戦力になってもらいたいが、成長を急がせるあまり「詰め込み教育」になると、「ゆとり教育世代」の若者にはストレスになるという思いもあり、さじ加減に思案するところです。
一般的に日本の会社では「人に仕事を付ける」やり方をしています。そのため新入社員にも一通りの仕事を覚えてもらって、その後、本人の適性を考えながらやるべき仕事を決めていきます。
こうした方法は時間がかかるのが難点です。終身雇用の下、60歳で定年・引退するという時代には通用しましたが、現在のように仕事を取り巻く環境変化のスピードが早い時代には合わなくなっています。
また若手社員側の意識の変化も見逃せません。彼らにすれば働く期間が70歳まで伸びようとし、転職が当たり前になろうとしている時代に、のんびり・じっくり力をつければよいというやり方では貴重な20代の期間がムダになるという思いがあります。
そうした事情を踏まえると、これからの人材育成方法は新入社員でも早めに仕事上の役割を決めてしまうのが理にかなっています。「出来るようになった仕事をさせる」から、「役割をこなせるように育成する」という方針に転換するわけです。
同時に与えた役割が社内や部署内でどんな位置づけになるのかも説明します。自分の仕事がどこの誰と、どんな関わりがあるのかがわかれば自ずと仕事に責任感が生まれます。
また役割を決めることは、信じて任せることであり、ヤル気の向上も期待できます。人は他者から信用され期待されることで、それに応えようとする意識が芽生えます。
こうした先に役割を決めて、それができるように育成するという方法は、中途採用者にも応用できます。また昨今のような仕事に人を就けるジョブ型雇用にもマッチしています。
これまでの日本の会社は状況によって人に仕事を割り振り、役割を柔軟に変えながら現場を回してきました。そのため会社の都合に合わせ、あれもこれもできるようにするのが人材育成とされてきました。時代の変化に合わせ、人材育成の方法も見直してみてはいかがでしょう